日記

片想いに恋している

 春だ。春だよ。鳥がそうやって私に教えてくれるけれど、私はけっこう前からすでに春が来ていたのを知っている。でも髪も服も黒いままで、まだ体の中には何となく冬が残っていて、はあ、片想いがしたいな。それも、ぜったいに、何があっても報われないやつ。

 報われない恋、みたいなものは今まで結構してきたから、めちゃくちゃ辛いのは知ってる。自分のことを制御できないのもすごく嫌だ。ハッピーエンドだったらまだ笑えていた行為でも、無意味でしかないことがわかっていると、すごく恥ずかしくなるし。それでも、相手に親切にしてもらって、これはどういう意味なのかなと夜通し考えたり、次会うときにどんな服を着ていこうかと延々と悩んだりしたい。ちょうど春だし。春の服は無駄が多くてよい。機能性を無視したよくわからないリボンとか、見た目だけは良いペラペラの生地とかで服が作られている。だから、片想いをするならぜったいに春がいいな。

 そして、相手は最後まで私を好きにならないでほしい。いや、ある程度は好きになってほしいんだけど、告白してこないでほしい。どうしてかというと、両想いになったらあとは下っていくだけだから(まあ、私の人生で両想いになれたことなんて、あんまりないのだけど。インターネットの中でくらい、虚勢を張らせて下さい)。てっぺんが見えなくてもいいので、ずっと上り坂を進んでいたい。私の好きな人は、どうかずっと、私の手の届かないところにいてくれ。

 そして、もし好きになっても、できることなら何にもないまま関係を終わりにしたい。せめて、偶然手がふれる程度で。そのくらいがちょうどいい。そうすれば良いところしか見えないから、ずっと好きでいられる。ただ、私はすっかり大人になってしまったので、異性の体に触れるための言い訳を多く知りすぎた。2人きりになるのさえ難しい恋愛は、もうできないのかな。

 なんだか前回に引き続き、最近はあれがしたいとか、これがしたいとかばかりだ。しっかり考えて行動すれば、大抵のことなら、割と挑戦だけはできたりする。でも、私が動かないで家の中にいるのは、そのほうが楽だから。楽しくなりたいけど、辛いこともあるならいいやと思ってしまう。夢を目標にするのは、かなり危険だ。憧れの人は、ずっと憧れのままでいるべき。もし付き合いたいと思って行動してしまうと、その人の嫌な部分が見えてきたり、自分では絶対に届かないとわかったりするので。夢は遠くから見ているのが1番いい。ああ早く春にならないかな。