日記

2022/05/02:読んだ本 死の壁

死の壁 (新潮新書)

お医者さんの死生観に興味があったので読んだ。けれど読んでも読んでも歴史や政治での死の扱い方を述べているだけで(こういう話も面白いのだけれど)自分の死について知りたいのに……と思っていたら、自分が死ぬのは自分には関係ないのでどうでも良いとのこと。自分の死は一人称で、これは存在しないものなので考えても仕方がないらしい。死というのは、二人称(知り合いの死)と三人称(知らない誰かの死)で体験するもので、自分がどうやってそれらの死を乗り越えるかみたいなのを考えたほうが良いと言っていて、新しい発見だった。考え方が医者っぽくて良い。現実だけ見ているし、頭がよい人特有の偏った意見ばかりで面白かった。

私が(一人称の)死について最近思ったのは、生きている人がいる場所と、死んだ人がいる場所があったとして(死後の世界を信じているかどうかはまた別の話)、私が今いる生きている人の場所から、私の好きな人や知り合いが死んだ人の場所へ行くたびに、死への恐怖が薄れていって、最終的に、生きている場所にもう好きな人がいなくなったとき、何もこわくなくなる気がする。死に対する恐れはだいぶ和らいできたけれど、やっぱりまだこわい。特に痛かったら嫌だなと思う。あと自分のお葬式は見てみたいな。あれは人生の総集編で、私が唯一主役になれる場所だ(主役はもういないのに)。