日記

いつまでも子どものままなのは私のほうだった

先週くらいに、小学校の同級生のまりちゃんとごはんを食べた。まりちゃんは、小学2年生の時に私の地区に引っ越してきて、それからは、毎日一緒に学校を行き帰りしていた。結構変わっていた子で、朝は同じ地区の1年生から6年生まで集合してから一緒に学校へ行くんだけれど、よく鼻血を出して集合場所に来なかった。あとは、部活を犬の散歩があるからといって休んだり。

まりちゃんは、すごくボロボロの平屋に、お父さんとお母さんと、弟と一緒に住んでいた。私の家は、友達を呼ぶことは禁止されていたので、放課後はまりちゃんの家でよく遊んだ。普段はあんまりゲームとか漫画とかさせてくれなかったので、まりちゃんの家で、好きなだけお菓子を食べながらゲームをしたり、ちょっとエッチな漫画を一緒に読んだりするのが好きだった。そうして、お母さんの仕事が終わったら近くまで迎えに来てくれるんだけれど、私の家もそうだし、他の友達のお母さん達も、あんまりまりちゃんの家とは仲良くしていないようだった。確かにすごく変わっていたお父さんとお母さんだったけれど、私は嫌いじゃなかったんだよな。まあ、母親の立場になってみたら違うのかもしれないけれど。

そんな感じで中学まで仲良くしていたけれど、別々の高校に進学してからは前ほど一緒に遊ぶことはなくなった。なんだろうな、小学校や中学校って、地区ごとにわけられているからヤンキーもガリ勉もおんなじ教室にいるんだけれど、高校ってある程度同じ学力の人が集まるので同じような人ばかりになるみたい。まりちゃんは地元のちょっと荒れてる高校に行って、私は田舎にしてはがんばってる感じの高校へ行った。そうすると、中学の頃の意味のないいじわるとか人間関係とかがすっかりなくなって、とても居心地がよくなった。中学校までは人と話すのが嫌すぎて日曜日は必ず泣いていたけれど、それもなくなったし。そんな感じで、お互い新しい友達と遊ぶようになって、私とまりちゃんはほとんど連絡を取らなくなった気がする。まあ、久しぶりに会っても前みたいに仲良くしていたんだけれど。ただ単純に生活する環境が離れてしまっただけなんだよな。

高校を卒業したら私は大学へ進学して地元を離れることになった。大学へ行くと、高校よりもっともっと同じような人がたくさんいた。まるでどんどんザルでこされてくる感じ。まりちゃんとは、ますます会うことはなくなった。たまに夏休みに遊んだ時とかに近況を聞くと、専門学校を辞めて働いているみたいだった。そうして年に1回会うか会わないかみたいな関係を続けて、大学3年生くらいの時だったかな、久しぶりに遊んだ時にまりちゃんがふと私を見て「なんだか変わっちゃったね」と言った。その時初めて、もう前みたいな関係には戻れないんだなあと悲しくなってしまった。たぶん、まりちゃんが変わらないだけなんだと思った。地元を出ていろんな経験をすれば変わるのは当たり前で、ずっとおんなじところにいておんなじ環境で生活しているまりちゃんとは、すごくすごく離れてしまっていたみたいだった。まあ、その後なぜか私も地元に戻って働くんだけれど。これに関しては結構後悔している。知らないところで働いていれば、もう少し我慢できたのかなとか。

そんなことがあったけれど、今では私は立派にニート(仮)だし、まりちゃんはやりがいのある仕事ができているみたい。それで久しぶりにごはんを食べて、ニートはつらいよなんて話をしていたんだけれど、「でも、(私)は昔から無計画に何かを決断する人じゃないから、あんまり心配してない」なんて言われてしまった。そんなことないよ。いつも行き当たりばったりで、でも大学までは何となく人に言われたままにしていたら上手くやってるように見えていただけなんだよな。それで、さてあなたの好きなように生きていいですよと言われてしまうと、結構ヤバい道を選んでしまったりする。きっとまりちゃんは、小学校の頃の私のまま、私を見てくれているんだろうけれど、あの頃みたいにみんなから好かれて人気者だった私はもういなくて、今は、自分で決めた時間に起きることすらできない。まりちゃんの方がよっぽどすごいよ。もっと言うと、同じ小学校だったみんなもどんどん偉くなってる。20歳超えるまで彼氏ができなくて頭おかしくなりそうだったさやちゃんは、結婚して家も建てて、かわいい赤ちゃんを抱っこしてる。保健室登校でよく一緒に保健室で遊んでたあかねちゃんも、今ではちゃんと働いて都会で一人暮らししている。変わっていないのは私だけみたいだ。いつまでも子どものまま、嫌なことはしたくないと駄々をこねて、ちゃんと自分と向き合うことができない。みんなどんどん大人になって、大人のいいところも悪いところも受け入れていっているのに、私は、それすらもできないまま、ずっと昔に戻りたいと考えてばかりいる。そんなこと考えたってしょうがないのに、あの時結婚していたら、あの時辞めていなかったらなんて、その道を選んだからといってよくなるとは限らないのに、それがわからないからこそ、ずっと考えてばかりいる。