日記

タイトルなし

物置になってしまった犬小屋で時間の経過を知るのはすごく悲しくて、もう散歩のときにあの家の前を通れなくなってしまった。

産まれてからしばらくは、何かを得ることで時間の経過を知るけれど、ある程度歳を重ねて、これ以上持てなくなってしまうと、今度は手放すことで時間の経過を理解する。私はすでに大抵のものは手に入れてしまっていて、今はもう、大切なものが手の中から消えていくことでしか時間を感じられない。

ただ、時間の経過はどうでもいいものは増やしていくようで、部屋はよくわからない物であふれている。すこし前からどこかに引っ越したいなと思っているけれど、物が多いせいで動く気にもなれない。それに、いま私が持っているのが手放すべきものか、そうではないものか見極めるのが面倒だというのもある。

こうしているうちにも大切なものばかり、どんどんなくなっていくのに、私は黙ってそれを見ていることしかできない。