日記

吐きそうなくらい幸せをもらってきた

この文章を書き終えるまでに、書いては消してを何度も繰り返してるのだけれど、いつもならそんなことはしない。頭の中に浮かんだことを、そのまま書けばいいだけなので。でも今回は、全てをそのまま書いてしまうには、あまりにもみじめで醜いので、私はこの期に及んでもまだ、よく思われたいがために、本当のことを書けないらしい。そういう時に書く文章はあまりにも機械的で読みにくいので嫌いだ。

今日は大学時代の友人の結婚式だった。大学を卒業して地元に戻ってからは、大学の人たちに会うことはほとんどなかったので、久しぶりにみんなの顔を見る機会でもあった。ただ、そこには、昔付き合っていた人と、その奥さんも来るらしかった。大学1年生の頃から6年くらい付き合っていたその人は、私とお別れしてからしばらくして、同じ大学の、私とも仲の良かった人と結婚した。まあ、もちろん直接は聞かされていなくて、この前数年ぶりに旦那さんの方に会っておめでとうなんて言ったけれど、奥さんとは卒業してから一度も会っていなかった。
私は別に気にしていないつもりだったのだけれど、今日の結婚式の受付で、昔付き合っていた人と、昔付き合っていた人と同じ苗字になった人の連名でのご祝儀を見つけて、なぜか心が乱れてしまった。がんばって何も考えないようにして、私も負けじとおめでとうの気持ちを込めてご祝儀を渡した。そうそう、今日はおめでたい日なんだよ。ご祝儀を渡すのに慣れていなくて、ふくさがぐちゃぐちゃになってしまった。気持ちの代わりに、ふくさが犠牲になってくれたみたい。
受付が終わって式まで時間があったので、ロビーに座っていようとしたら、同じ大学の人たちのかたまりを見つけた。昔付き合ってた人の奥さんと目があったので、思わず近づいて「何で結婚したって教えてくれなかったの〜」と言ってしまった。アホすぎ。結婚したのを報告する義務なんてないからな。しかも、私はすでに、どちらかの何でもないのに。申し訳なかった。でも、その時はすごく混乱していて、とにかく、私は全然気にしてないんだよと言いたかったんだと思う。今考えると、すごくかっこ悪いし、みじめだ。ファーストコンタクトはそんな感じで終了して、それから奥さんの方とは何となくギクシャクしていたけれど、式は滞りなく進んだ。新郎の配慮なのか、ふたりとは同じテーブルにはならなかった。テーブルの配置のせいで、新郎新婦を見ようとすると、ふたりが隣り合って仲良くお話してるのが、どうしても目に入ってしまったけれど。でも、本当によい式でした。ごはんも、おいしかったし。
ただ、ひとつだけずるいことをしてしまった。式の最中、一回だけ、ああ、何でだろうな。その人が席にいないのを見て、急にお手洗いに行きたくなってしまった。席を立って会場から出ると、やっぱりその人が外にいて、ウェルカムボードを眺めていた。一度は素通りしようと思ったんだけれど、思いとどまって隣に並んだ。何の話をしたんだっけな、覚えてないや。今日初めてちゃんとお話をしたけれど、やっぱり久しぶりな感じはしなかった。でも、少しお話をしたあと、その人がふいと素っ気なく会場に戻っていったので、まあそうだよな〜と思った。これは私のずるいところなんだけれど、その人とお別れしようと言ったのは私からだったので、その人には、少しだけでもいいので、私に未練を持っていてほしかった。だからきっと、今日精いっぱいめかしこんで来たのも、私とお別れしたことを後悔してほしかったんだと思う(自分から振っておいて意味がわからない)。あとは、ほんのちょびっとだけ、奥さんにグヌヌとなってほしかった。相変わらず私は何をやってるんだという感じだけれど、決して態度には出さない代わりに、それくらいは許してくれるだろうか。駄目かな。私はちゃんとわきまえてるので、昔付き合っていた人には必要以上に近づこうとはしなかったし、何ならワザとよそよそしく接して、奥さんが不安にならないようにすごく気を使っていた。おそらく、普通の女性だったら、自分の旦那を振った女性とは、旦那を接触させたくないはず。私はなぜか、普通の女性が考えてることがよくわかるので(この前もクライアントに褒めてもらった!)、きっと正しい。だから二次会で、ふたりの指輪やおそろいの時計や、自然にふれる腕と腕を見てもニコニコしていたし、新婚旅行先で起きたトラブルを聞いてビックリした顔をしたし、誰かと一緒に暮らすことについてアドバイスをもらったりした。そうしたら奥さんは、すっかり警戒心を解いてくれたみたい。よかった。もう会いたくない。
ふたりにとって私は、最後まで良い友人でいられただろうか。どうか、昔付き合っていた人が、今日寝る前に、私のことを考えますように。大学時代一緒に過ごした日々を思い出して、ギューとなりますように。そうして1週間くらい、心のどこかで何かが引っかかるのを感じながら、奥さんとずっと幸せに暮らしますように。
久しぶりに会ったみんなは、すごくちゃんと幸せそうだった。私は、散歩中の犬に出会えたり、温泉にボーッと入っていたりすることで幸せを感じていたけれど、愛する人が隣にいたり、子どもを育てたり、仕事をがんばったりするのが、本当の幸せというのかな。みんなは本当の幸せを知っているので、嫌なことも投げ出さずに頑張れているのかもしれない。私が幸せと呼ぶものは、小学生の工作みたいで、ちょっと力をかけたらすぐに壊れてしまいそうな気がする。
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